自動売買システム(機械売買システム、アルゴリズム取引、自動売買、システム取引とも呼ばれます)は、あらかじめ設定された売買ルールを実行するプログラムを使用して取引する方法です。

一度プログラムされると、コンピュータを介してテクニカル分析や、建玉注文、トレーリングストップ、損切りなどのポジションのパラメータ設定を組み合わせて行います。
実際、東京証券取引所で取引されている株式の過半数が自動売買システムから来ていると報告されています。
自動売買の始め方①FX
1.FX会社が提供している自動売買ツールを使う
必要な物:対応FX口座の開設のみ
最も手軽にFXの自動売買を始める方法は、マネースクエアのトラリピなどFX会社があらかじめ用意している自動売買システムを利用することです。
FX会社の中には他社との差別化を図るために自動売買システムを提供している会社があり、口座を開設していれば無料で利用することが可能です。
自動売買システムを提供しているFX会社
- インヴァスト証券(トライオートFX)
- 外為オンライン(iサイクル2取引)
- マネースクエア(トラリピ)
- アイネット証券(ループ・イフダン)
- FXブロードネット(トラッキングトレード)
- みんなのFX(みんなのシストレ)
- セントラル短資FX(セントラルミラートレーダー)
- ひまわり証券(ループ・イフダン)
2.MT4とEAを使う
必要な物:MT4・EA
少し難易度が上がりますが、①MT4という取引プラットフォームに②EA(自動売買プログラム)をインストールして使用する方法です。
通常、FXの自動売買と言えばこちらを指すことが多いです。
FX会社提供の自動売買との最も大きな違いは、世界中の人々が利用・作成しているため膨大な数と種類が存在していることです。
複雑なプログラムが多く、ほとんどが有料となっていますが、口座開設者に限り無料で提供しているFX会社もあります。
MT4を提供しているFX会社
EAを販売しているサイト
自動売買の始め方②株
1.プログラミング言語を使って株の自動売買を自作する(無料)
これまで個人投資家が株の自動売買を無料で行おうとすれば、Pythonというプログラミング言語を使い自作するのが一般的でした。
ただし、これは自動売買といっても機関投資家のそれとは大きく異なる(劣った)ものでした。
その原因がAPIの存在です。
詳細は省きますが、このAPIが公開されているか否かが両者の差をうんでいたわけですが・・・
とうとうAPIを公開する取引所が現れました。
それがauカブコム証券のkabuステーションAPIです。

プログラミング言語の知識は必要になりますが、取引所自体が自動売買の基盤を用意し、サンプルコードなどの情報提供も実施するなどこれまでの環境とは天と地の差があります。
今から株の自動売買を無料で始めるならこの方法一択と言っても過言ではありません。
2. 証券会社が提供している高機能取引ツールを使う(無料)
必要な物:対応証券口座の開設のみ
楽天証券のマーケットスピード2など、証券会社が提供している取引ツールを利用した自動売買です。
自動売買といっても、指値や逆指値、トレーリングストップ注文などを組み合わせて自分で条件やルールを設定する必要があり、また注文の期限もあるため、自動売買のイメージとは少し違うかもしれません。
高機能取引ツールを提供している証券会社
3. 株式自動売買ツールを使う(有料)
必要な物:株式自動売買ツール・ストラデジー・追加データ
取引ルールまで提供してくれるものが希望であれば、株式自動売買ツールとストラデジー(売買ルール)を用意することになります。※株価データなど追加が必要な場合があります。
そのため、FXの自動売買に比べて環境を整えるコストが割高です。
株式ではFXにおけるMT4のような定番という存在が無いため、①株式自動売買ツールを選ぶ②追加データの確認③証券会社が対応しているか、調査が必要になります。
株式自動売買ツール①「株システムトレードソフト イザナミ」
ストラデジー(イザナミ用)の一例
株式自動売買ツール②「システムトレードの達人」
ストラデジー(システムトレードの達人用)の一例
自動売買のメリット

自動売買システムを導入することでトレーダーや投資家は、正確なエントリー、出口戦略、資金管理のルールを、コンピュータが実行し、監視することができる仕組みに変えることができます。
1.感情を最小限に抑えられる
自動売買の最大のメリットは、特定の基準が満たされると自動的に取引が開始されるので、取引から感情を取り除くことができるということです。
取引を開始するには条件を満たす必要がありますから、裁量トレードのように無理にポジションを取るポジポジ病になることもありません。
2.ルールを守ることができる
取引ルールが確立され、取引執行が自動的に行われるため、変動の激しい市場でも規律が保たれます。
損失を被ることへの恐怖や、もう少し利益を得たいという感情的な要因により、規律が失われることがよくあります。
自動売買は、取引計画が正確に実行されるため、規律を維持するのに役立ちます。
さらに、手入力によるミスは最小限に抑えられます。
例えば、100株の買い注文が1000株の売り注文として誤って入力されることはありません。
3.注文入力スピードの向上
コンピュータは市場の状況の変化に即座に反応するため、自動化されたシステムは取引の基準を満たすとすぐに注文を生成することができます。
数秒早く取引に参加したり、決済したりすることで、取引の結果に大きな違いをもたらすことができます。
ポジションが入力されるとすぐに、ストップロスや利益目標を含む他のすべての注文が自動的に生成されます。
市場は素早く動くことがあり、注文が入力される前に、取引が利益目標に到達したり、ストップロスのレベルを超えてしまったりすると、やる気をなくしてしまいます。
自動売買システムは、このような事態を防ぎます。
4.トレーディングの多様化
自動取引システムでは、ユーザーは一度に複数の口座や様々な戦略を取引することができます。
これにより、様々な商品にリスクを分散させながら、負けポジションに対するヘッジを行うことができます。
人間では信じられないほど困難なことを、コンピュータがミリ秒単位で効率的に実行します。
コンピュータは、さまざまな市場の取引機会をスキャンし、注文を生成し、取引を監視することができます。
自動売買のデメリット
自動売買システムは多くのメリットを持っていますが、トレーダーが知っておくべきデメリットや現実もあります。
1.機械的な故障
EAによる自動売買など、取引プラットフォームによっては、取引注文はサーバーではなくコンピュータ上に存在する場合があります。
これは、インターネット接続が失われた場合やパソコンが故障した際に、注文が市場に送信されない可能性があることを意味します。
2.過剰最適化
自動売買システムに限ったことではありませんが、バックテストや紙の上では素晴らしいように見えても、実際の市場ではひどいパフォーマンスを出すという事例が多々あります。
過剰最適化とは、パラメータを調整して「完璧に近い」プランを作成することでとても魅力的なシステムと誤認させることで、そして それが実際の市場に運用されるとすぐに失敗します。
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